南ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州の古都・ウルム。
あまり目立たない地名ですが、”世界一高い教会建築” と言われるウルム大聖堂やアイシュタインの出生地として有名な街です。今回はウルムの街歩きの様子を紹介します。
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ウルム市について
ウルム市は南ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州の古都。ドナウ川沿い、ファンタスティック街道とロマンティック街道の丁度中央辺りに位置し、人口は約12万人ほどの中都市です。
アインシュタインの街
ウルムは有名な物理学者、アルベルト・アインシュタインの生まれた街です。ウルム中央駅から大聖堂へ向かうバーンホフ通り(Bahnhofstraße)には、アインシュタインの生家跡を見ることも。
残念ながら第二次世界大戦で家は焼失してしまいましたが、家があったことを示すモニュメントが残されています。
また、後述するウルム大聖堂はステンドグラスの美しさでも有名ですが、1985年に新しく設置されたステンドグラスはアインシュタインがモチーフとなっています。
ビッグバン、有名な科学者の名前とポートレート、数式など、クラシックなステンドグラスのイメージが変わる斬新なデザインでした。
そのほか、アインシュタインの名前を冠したカフェやお土産などを見つけることもできます。街歩きの時に気にしてみると楽しいかもしれないですね。
“すずめ” の街
ウルムの街を歩いていると、色々なところですずめのオブジェを見かけます。ウルムにはスズメにまつわる古い寓話があって、縁起の良い鳥として愛されているそうです。
寓話(詩)の全文はウルム市のホームページで紹介されていますので、ご興味のある方はどうぞ。
原文は詩ですが、わかりやすく物語風に意訳したものはこんな感じ。
むかしむかし、ウルムの町でたくさんの建築資材が必要になったことがありました。
ところが市の門が狭すぎて、長い間大きな資材を運び込むことができずにいます。
みんな頭痛に悩まされて途方に暮れておりました。
ある人が、塔の上で棒を縦に差し込みながら巣を作るスズメを見て気がつきました。
「同じようにやればいいじゃないか!」
スズメの知恵がなければ門を壊さなければならなかった人々はスズメに感謝し、
大聖堂の上にスズメの絵が刻まれることになりました。
現在でもウルムの人々の好きな料理の名前には 【スズメ】の名前が与えられています。
おしまい
長い棒が門に突っかかって持ち込めず困ったけど、スズメの知恵のおかげで縦に運び込めた…!というお話でした。
ちなみに、最後に言及されているスズメという名前の料理はシュペッツレ (Spätzle) という卵麺の料理です。南ドイツを中心にドイツレストランで見つけることができますので、機会があったらぜひ食べてみてください。
ウルム大聖堂について
さて、そんなウルムのランドマークとして中心に建つウルム大聖堂。ドイツの代表的な建築様式であるゴシック様式で建てられた教会です。
全長は161.53mで、教会建築では世界一の高さであることから「神さまの指」とも呼ばれています。なんだかかっこいいですよね。
実はこの大聖堂、1377年の竣工から1890年の完成まで500年かかったことでも有名です。建築中には第2次世界大戦もあり、ウルム市は爆撃も受けましたが、壊れることがなかったのも奇跡的でした。
多くの大聖堂のようにカトリック教会として完成したウルム大聖堂ですが、宗教改革のため、のちにルター派のプロテスタント教会となりました。ちなみにドイツ3大聖堂に数えられるケルン大聖堂やマインツ大聖堂はカトリック教会です。
所在地・アクセス
住所: Münsterplatz 21, 89073 Ulm
バーデン・ビュルテンベルク州・ウルム中央駅 ( Ulm Hbf )から徒歩10分。観光地なので、市内には大きな駐車場もいくつかありました。
教会周辺は広場になっていて、カフェやレストランのほか、ショッピングストリートも近いので周辺だけでも遊べます。小さい街なので、遠くからでも大聖堂のシルエットが分かります。のんびり街を散策しながら向かうのもいいかもしれません。
建物について
使用されている建築材料は、塔のほぼすべての部分が砂岩と石の彫刻で作られているそうで、外観の彫刻はとても豪華です。ウルム大聖堂は、ゴシック様式の古典的な石造りの建物スタイルに近いそうですが、レンガ造りの教会と見なすこともできるとのこと。
500年の建築期間を経て、さまざまな技法が試されたのかもしれないですね。それにしても、他の様々な教会を見ても、中世にこれだけの建築ができたことに驚いてしまいます。
メインタワーは、高さ143m。最上部の展望台まではエレベーターなどはなく、768段の階段を上ります。
大人で大体2〜30分くらいかかるそうですが、晴れた日にアルプスと可愛いウルムの街全体を見渡せるのはきっと素晴らしいと思います。体力に自信のある方はぜひ、挑戦してみてくださいね。
展望台展望台の入場料は大人4ユーロ、子供2.5ユーロです。
内部
内部は白を基調とした美しい雰囲気でした。見どころであるステンドグラスは1枚1枚がとても精密にデザインされており、時間を忘れて眺めてしまいます。
ここでは現在のステンドグラスのデザインを手がけた、トーマス・クジオ氏の本も閲覧できるようになっており、ステンドグラス製作の写真などを見ることが出来たのも良かったです。
そのほかに、15世紀の美術的傑作といわれる木彫りの椅子や、聖職者席の彫像など美術的にも価値のあるものが多く展示されています。
私は教会や美術史のことについて詳しいわけではないのですが、美術館をめぐるようにゆったりとした時間を過ごせました。
教会内に礼拝の席が2000席ありますが、中世では礼拝中に立つのが通例だったため、2万人から2万2千人の人々が集まっていたとされています。教会といえば静かなイメージですが、2万人もいるミサってどんな感じなのでしょうか。ちょっと想像できませんね。
また、現在でも演奏イベントなどの際には4500席まで増やせるのだとか。大聖堂で楽しむ演奏会も素敵ですね。
Ulmは豊かな歴史遺産のある街
ミュンヘンからは1日あればウルムの街を散歩して大聖堂の見学もできますので、機会があればはぜひ立ち寄ってみてください。小さいながら、豊かな文化に溢れたUlmの町をぜひ楽しんでくださいね。
私が実際に訪れた時のVlogは下からご覧いただけます。